本セクションでは、XとPeriscopeのアカウント情報を対象に、世界各地の政府機関から寄せられた情報開示請求に関する最新データを取り上げています。対象とする請求には定期的要請と緊急要請の両方が含まれます。世界的な請求件数、特定されたアカウント、対応するコンプライアンス率のトレンド、およびXの関連ポリシーや世界の保管請求についても詳しく取り上げています。スペースに言及する最初のケースも受領しました。
前回の報告書から顕著に変化した項目を以下にピックアップしています。[1]
全体像
世界各地の執行機関/捜査機関が提出した情報開示請求件数(緊急および定期的請求の合計)は前回報告期間に比べ約7%減少しました。これらの請求で特定されたアカウント件数(累計)は9%増加しました。Xではこうした情報開示請求の40%に対して請求された情報の一部または全部を提示しました。
各領域について以下で詳しく分析しています。追加情報はXの法的請求に関するよくある質問を参照してください。
Xは2012年からこれまでに、99か国の政府機関から情報開示請求を受け取っています。その中には初めてこの報告書に登場した、ジャマイカも含まれます。
今回の報告期間では、米国[2]から提出された政府機関からの情報開示請求が最大となり、世界全体に占める割合は、請求件数で20%、特定されたアカウント数で39%を占めました。2番目に請求件数が多かった国はインドで、世界全体に占める割合は、情報開示請求件数で19%、特定されたアカウント数では27%を占めました。
日本(17%)、フランス(17%)、ドイツ(6%)がそれに続き、上位5か国に入りました。これら5か国で今回の報告期間中に全世界から寄せられた情報開示請求の総数の79%を占めました。この5か国が上位5位を占める(順位は問わず)のは今回が連続して2回目です。
Xでは、捜査機関向けガイドラインに記載されているとおり、有効な緊急要請を受けて、アカウント情報を執行機関/捜査機関に開示する場合があります。[3]
Xに提出される情報開示請求の世界総数のうち、およそ14%を緊急要請が占めます。当報告期間中、緊急要請件数は10%減少しました。一方、これらの請求で特定されたアカウント数(累計)は17%減少しました。
前述したとおり、「CLOUD法」(Clarifying Lawful Overseas Use of Data Act: 海外データ合法的使用明確化法、2018年3月成立)によって、米国政府は適格な外国政府と二国間協定を結ぶための枠組みを確立させました。こうした二国間協定が発効した場合、Xのような米国のプロバイダーにはアカウント情報や通信内容の開示を求める強制的な法的請求が外国政府機関から直接寄せられたり、アカウント情報のリアルタイムの監視命令(米国に関する報告におけるペンレジスタ/トラップアンドトレース命令や通信傍受命令に類するもの)が下ったりすることが考えられます。
Xは、アカウントデータに対する国境を越えた法的請求に関する事態を引き続き注視していきます。Xは、法令環境の変化に合わせ、必要に応じて当社のポリシーを更新する一方で、ユーザーの発言や透明性を保護および尊重するという当社のスタンスを守ります。
Xは、不完全または不適切(表面的に不適正または請求範囲が過度に広い)と判断されるアカウント情報開示請求を適宜拒否します。状況に応じて、請求の絞り込みの後にデータを一部開示する場合やデータをまったく開示しない場合があります。また、開示対象に該当する記録がない場合もあります。[5]
Xが政府機関からの情報開示請求のうち、開示する情報を絞り込むか、開示を拒否した割合は世界総数の60%で、今回の報告期間中に11%減少しました。
Xは、アカウント情報開示請求について特定のアカウント所有者に報告します。ただし、報告を禁止されている場合、またはXの「ユーザーへの報告に関するポリシー」の例外に該当する場合を除きます。[6]
Xが今回の報告期間中に情報開示請求についてアカウント所有者に報告できた件数は、世界全体で219件でした。
Xでは捜査機関向けガイドラインに記載があるように、政府機関からのアカウント情報の保管請求を受け入れています。
政府機関が発行する保管請求とは、捜査に関連する情報の一時的な保管をXのようなサービスプロバイダーに指示するものです。こうした請求により、執行機関/捜査機関や検察官などは、保管情報を合法的に取得するうえで必要な捜索令状などの正式な訴状の取得に必要な時間を確保できます。Xでは、有効な保管請求を受けた場合、正式な訴状が届くまで最大90日間、関連するアカウント情報のスナップショットを一時的に保管します。このスナップショットが公開されることはありません。[7]
世界全体の政府機関による保管請求件数は、当報告期間中に10%増加しました。一方、特定されたアカウント数は19%増加しました。国別では、米国(34%)とインド(51%)の2か国だけで、保管請求世界総数の85%を占めました。
Xは、世界中の政府以外の機関からアカウント情報開示請求を受け取ります。よくある例として、弁護の裏付けとなるアカウント情報を求めるために、民事裁判(離婚訴訟など)や刑事裁判の被告によって提出される請求が挙げられます。[8]
政府以外の機関による情報開示請求に関する詳しい情報については、ヘルプセンターページのXデータの利用と法的請求に関するよくある質問をご覧ください。
Xは2014年からこれまでに、36か国の政府以外の機関から情報開示請求を受け取っています。その中には初めてこの報告書に登場した、ニュージーランドも含まれます。
Xが政府以外の機関から受けた情報開示請求件数は当報告期間中7%減少しました。これらの請求の中で特定されたアカウント件数は1%減少しました。一方、コンプライアンス率は47%と変化していません。[9]
匿名やペンネームでの発言はXにとって重要であり、Xはユーザーの表現の自由の保障と保護を中心的なスタンスとして掲げています。Xには、匿名やペンネームのXアカウントに関する情報開示請求(アカウントの身元「開示」の請求)が政府以外の機関から頻繁に寄せられます。Xでは、米国を中心に、こうした請求を繰り返し拒否しています。
Xは当報告期間中、米国憲法修正第1条を根拠に匿名の発言者の身元開示を求める29人の米国市民からのアカウント情報開示請求を拒否し、これらの請求のうち2件では訴訟に至りました。このうち1件で米国憲法修正第1条の保護が適用されるというXの主張が認められ、1件はなお係争中です。身元開示請求の93%について、情報は一切提供されませんでした。
今回の報告期間中に受け取った請求については、現在も進行中で報告時に対応が完了していない場合があります。
1. パーセンテージは四捨五入して表示されます。
3. Xは、人命が脅かされるか重傷を負う切迫した危険性があると確信できる十分な情報があるかどうかを判断するために、こうした請求をケースバイケースで審査します。こうした状況において、脅威の回避または軽減に関連する情報がある場合、Xは該当する情報を執行機関/捜査機関に開示することがあります。
ただし、さまざまな理由で緊急開示請求に対してデータを開示しないことがあります。例:
4. Periscopeアカウントの情報開示請求も、請求件数の集計結果に反映されています。
5. Xは、さまざまな理由で請求に応じないことがあります。例:
6. Xのユーザーへの報告に関するポリシーについて詳しくは、Xの「捜査機関向けガイドライン」や「法的請求についてよくある質問」を参照してください。ここではXがアカウント情報開示請求やコンテンツの削除請求を受け取ったときの対応について、詳細情報をアカウント所有者に提供しています。
ユーザーへの報告には、人命に対する差し迫った脅威、児童の性的搾取、テロ活動などの緊急または意図に反する状況において、例外が適用される場合があります。
7. またXは、執行機関/捜査機関または政府機関の請求者から保管請求の延長請求(上記データに含まれない)を定期的に受けます。延長が合法的かつ適時に請求された場合は、正式な訴状が届くまでさらに90日間、アカウント情報の同じスナップショットの保管を継続するよう妥当な範囲で試みます。
請求側が国際協力プロセスに関わっていることを表明した場合(刑事共助条約または嘱託書)、こうしたプロセスは数か月かかる可能性があるため、Xは複数の延長請求を処理することがあります。
8. このデータにはアカウント所有者による自分のアカウント情報の開示請求は含まれません。
9. Xは、さまざまな理由で政府以外の機関の請求に応じないことがあります。例: